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和語灯録

提供: 本願力

示或女房法語

念佛行者のぞんし候へきやうは、後世をおそれ往生をねがひて念佛すれば、おはるときかならすらいこうせさせ給よしをぞんして、念佛申より外のことは候はす。三心と申候も、ふさねて申ときは。ただ一の願心にて候なり。そのねがふ心のいつはらずかざらぬかたをば至誠心と申候。このこころまことにて念佛すれは、臨終にらいかうすといふことを、一念もうたがはぬかたを深心とは申候。このうへわが身もかの土へむまれんとおもひ、行業をも往生のためとむくるを廻向心とは申候なり。このゆへにねがふ心いつはらずして、げに往生せんとおもひ候へは、おのづから三心はぐそくすることにて候也。そもそも中品下生にらいこうの候はぬことはあるましければ、とかれぬにては候はず。九品往生におのおのみなあるべきことのりゃくせられてなきことも候なり。ぜんだう(善導)の御こころは、三心も品品にわたりてあるべしと見えて候。品品ごとにおほくのこと候へども、三心とらいこうとはかならずあるへきにて候なり。往生をねがはん行者は、かならす三心をおこすべきにて候へば、上品上生にこれをときて、よ(餘)の品品をも是になずらへてしるべしと見えて候。 又われら戒品のふねいかだもやふれたれば、生死の大海をわたるへき縁も候はす。智惠のひかりもくもりて、生死のやみをてらしがたけれは、聖道の得道にももれたるわれらがために、ほどこし給他力と申候は、第十九のらいこうの願にて候へは、文にみへず候とも。かならすらいこうはあるへきにて候也。ゆめゆめ御うたかひ候へからす。あなかしこあなかしこ

   源 空